20208月5 『文盲』アゴタ・クリストフ 文盲: アゴタ・クリストフ自伝 (白水Uブックス)アゴタ クリストフ白水社2014-09-23もし自分の国を離れなかったら、わたしの人生はどんな人生になっていたのだろうか。もっと辛い、もっと貧しい人生になっていただろうと思う。けれども、こんな孤独ではなく、こんなにも心引き裂かれることもなかっただろう。幸せでさえあったかもしれない。人はどのようにして作家になるかという問いに、わたしはこう答える。自分の書いているものへの信念をけっして失うことなく、辛抱強く、執拗に書き続けることによってである、と。
20207月19 『悪童日記』アゴタ・クリストフ 悪童日記(字幕版)オルソルヤ・トス2015-06-01こんな鍛錬をしばらく続けて、ぼくらは実際、もはや何も感じなくなる。痛みを感じるのは、誰か別人だ。火傷し、切り傷を負い、苦しむのは、誰か別人だ。金持ちがドアを開け、貧乏人を蹴り飛ばすと 、貧乏人は歩道に伸びてしまう。金持ちはドアを閉め、スープ皿の前に腰掛け、両手を合わせて言う。「ああ、わが主なるイエス様、すべてのお恵みに感謝いたします」ハンガリー出身の女性作家アゴタ・クリストフの作品です。親を乗り越え、踏んづけていく物語。時代、場所、人物名、事件名が一切書かれていない。それなのに、それだからこそ、非常に恐ろしく感じる。中国の思想家、老子との類似。数学者の森毅さんが、戦争を扱った小説の中で、この作品が一番恐ろしいと仰っておられました。なんとなく分かる気がするのね。ゲームボーイアドバンス、MOTHER3の双子の名前は、この作品に由来します。まあ有名ですね。双子と言えば、私はブラックラグーンを思い浮かべるけど、皆さんは、誰を思い浮かべるんだろう?